FIRPTA源泉徴収とCA Form 593|日本在住者がLA不動産を売るとき【2026年版】
日本にお住まいの方がロサンゼルスなどカリフォルニア州の不動産を売却すると、売却代金の一部が「源泉徴収」として差し引かれます。連邦のFIRPTA(Foreign Investment in Real Property Tax Act)では原則として売却額の15%、カリフォルニア州ではForm 593に基づき原則として売却価格の3 1/3%が対象です。これは最終的な税額ではなく前払いで、翌年の米国・州の税務申告で精算し、払いすぎていれば還付されます。本記事では、日本在住のオーナーが売却前に知っておきたい仕組みと準備を、IRSとカリフォルニア州税務局(FTB)の公式資料をもとに解説します。
結論(ポイント)
FIRPTAは原則15%:外国人(日本在住者を含む)が米国不動産を売ると、買主が売却額の15%を源泉徴収してIRSに納めます。
居住用の買主なら軽減・免除あり:買主が住むために購入し、売却額が30万ドル以下なら免除、30万ドル超100万ドル以下なら10%に軽減されます。
州のForm 593は原則3 1/3%:売却価格が10万ドルを超える場合、州の源泉徴収も行われます。売却益に基づく代替計算を選べる場合もあります。
源泉徴収は前払い:売却した年の確定申告(連邦Form 1040-NR、州Form 540NRなど)で精算し、多すぎれば還付されます。
準備は早めに:ITIN(個人納税者番号)の取得や源泉徴収証明書(Form 8288-B)の申請には時間がかかるため、売却を考えた段階でCPAに相談しましょう。
FIRPTAとは:連邦の源泉徴収の仕組み
誰が・いくら源泉徴収するのか
FIRPTAは、外国人が米国の不動産を売却したときに、確実に税金を納めてもらうための制度です。IRSによると、源泉徴収の義務を負うのは多くの場合買主(Transferee)で、売主が外国人なのに源泉徴収しなかった場合、買主が税額の責任を問われることがあります(IRS: FIRPTA Withholding)。実務ではエスクロー(Escrow)会社が手続きを代行することが一般的です。
源泉徴収率は原則として「売却額(Amount Realized)」の15%です。売却額には、現金の支払いだけでなく、買主が引き継ぐローンなどの負債も含まれます。ここで注意したいのは、利益ではなく売却額全体に対して計算される点です。たとえば120万ドルで売却した場合、利益が少なくても18万ドルが源泉徴収の対象になります。
居住用の買主による軽減・免除
売却額30万ドル以下:買主が居住用として取得する場合、源泉徴収は不要です。
売却額30万ドル超100万ドル以下:買主が居住用として取得する場合、源泉徴収率は10%に軽減されます(Instructions for Form 8288)。
100万ドル超:原則どおり15%です。
ここでいう「居住用」とは、買主が取得後の最初の2年間それぞれで、物件を使用する日数の50%以上を自ら住む予定であることを指します。買主側の事情で決まるため、売主だけで判断できない点に注意が必要です。
納付の期限と書類
買主(またはエスクロー)は、源泉徴収した金額をForm 8288とForm 8288-Aとともに、譲渡日から20日以内にIRSへ納付します。IRSはForm 8288-AのCopy Bに受付印を押して売主に送り、売主はこれを米国の所得税申告書(個人は通常Form 1040-NR)に添付して税額控除を請求します(Instructions for Form 8288)。
源泉徴収証明書(Form 8288-B)で減額を申請する
実際の税額が源泉徴収額より大幅に少ないと見込まれる場合、売主または買主はIRSに源泉徴収証明書(Withholding Certificate)をForm 8288-Bで申請できます。IRSは必要な情報がそろってから通常90日以内に対応するとしています(IRS)。
クロージング時点で申請中であっても、買主は源泉徴収自体は行う必要があります。ただし、IRSから証明書または却下通知が届いてから20日目までは、IRSへの納付を保留できます。売却代金の大きな部分が長期間戻ってこない事態を避けたい場合は、売り出し前の段階で検討しておくと安心です。
ITIN(個人納税者番号)の取得タイミング
日本在住の方の多くはSSN(社会保障番号)を持っていないため、申告や証明書の申請にはITIN(Individual Taxpayer Identification Number)が必要です。IRSによると、ほかに正当な理由がない限り、拘束力のある売買契約が成立する前のITIN申請は却下されます。契約成立後はForm W-7(Exception #4)で申請でき、源泉徴収証明書の申請と一緒に提出した場合、ITINは10日以内に処理されるとされています(IRS)。
カリフォルニア州の源泉徴収(Form 593)
計算方法は2種類
カリフォルニア州でも、不動産売却時に州の源泉徴収が行われます。FTBの資料によると、外国の売主も国内の売主と同じルールが適用されます(FTB Publication 1016)。
総売却価格方式(既定):売却価格 × 3 1/3%。たとえば120万ドルなら約4万ドルです。
売却益方式(Optional Gain on Sale):売主が選択した場合、Form 593で計算した見込み売却益 × 最高税率。個人の場合は12.3%です(2026 Instructions for Form 593)。
取得価格が高く売却益が小さい場合などは、売却益方式のほうが源泉徴収額を抑えられることがあります。どちらが適切かは個別の数字次第なので、CPAに試算を依頼しましょう。
源泉徴収が不要になる主なケース
売却価格が10万ドル以下の場合(同じエスクロー内の複数区画は合算)
売主の主たる住居(Principal Residence)としての要件(売却日までの5年間に2年以上所有し、2年以上居住)を満たす場合
その他、Form 593に定められた免除要件に該当する場合
免除を受けるには、クロージング前にForm 593で該当する項目を証明する必要があります。源泉徴収された金額は、原則としてエスクロー終了月の翌月20日までにFTBへ納付され、売主にはForm 593の写しが渡されます。
売却後の申告:源泉徴収は「前払い」
FIRPTAもForm 593も、最終的な税額ではありません。売却した年の翌年に、次の申告を行って精算します。
連邦:Form 1040-NR(個人の非居住者)に、IRSから届くForm 8288-AのCopy Bを添付して源泉徴収額を控除
カリフォルニア州:Form 540NR(非居住者)で売却を報告し、Form 593の写しを申告書に添付して源泉徴収額を控除
申告しなければ、払いすぎた源泉徴収額は戻ってきません。なお、日本にお住まいの方は日本側でも申告が必要になる場合があります。日米双方の扱いについては、国際税務に詳しい税理士・CPAにご確認ください。
日本在住オーナーの売却準備チェックリスト
物件の取得価格・改良費(リフォーム等)の記録をそろえる
売却額と想定される源泉徴収額(連邦・州)を事前に試算する
米国の確定申告を依頼できるCPAを決めておく
ITINの有無を確認し、取得のタイミングをCPAと相談する
源泉徴収証明書(Form 8288-B)や州の売却益方式を使うか検討する
売却代金を受け取る米国または日本の口座と送金方法を確認する
入居者がいる場合は、賃貸契約や退去の条件を確認する
よくある質問(FAQ)
FIRPTAで源泉徴収されたお金は戻ってきますか?
源泉徴収額は税金の前払いという扱いです。売却した年の米国所得税申告(個人は通常Form 1040-NR)で実際の税額を計算し、源泉徴収額が多ければ差額が還付されます。
日本在住でもカリフォルニア州の税務申告が必要ですか?
カリフォルニア州の不動産を売却した場合、州の税務申告で売却を報告し、Form 593で源泉徴収された額を税額控除として請求する必要があります。非居住者は通常Form 540NRを使います。
ITINはいつ申請できますか?
IRSによると、ほかに正当な理由がない限り、拘束力のある売買契約が成立する前のITIN申請は認められません。契約成立後にForm W-7(Exception #4)で申請でき、源泉徴収証明書の申請と同時に行うことも可能です。
源泉徴収を減らす方法はありますか?
連邦はIRSに源泉徴収証明書(Form 8288-B)を申請して、見込み税額に応じた減額を求める方法があります。州はForm 593で売却益に基づく代替計算(Optional Gain on Sale)を選択できる場合があります。いずれも早めにCPAへご相談ください。
売却額が安ければ源泉徴収はかかりませんか?
カリフォルニア州は売却価格が10万ドル以下なら源泉徴収は不要です。連邦は買主が居住用に取得し、売却額が30万ドル以下の場合に免除されますが、それ以外は原則として源泉徴収の対象です。
日本からのLA不動産売却を日本語でご相談ください
Blue Current Estates Co.(CA DRE #02317199)は、トーランスを拠点にロサンゼルス・オレンジカウンティ・サンディエゴで売買仲介・賃貸・プロパティマネジメントを行う不動産会社です。ブローカーの鍵山 学(DRE #01891208)が、日本在住オーナー様の売却について、査定や売り出し時期の検討、エスクローとのやり取り、CPAとの連携の段取りまで日本語で直接ご相談をお受けしています。税務の詳細は専門家にお繋ぎしますので、まずはお気軽にご連絡ください。
お電話:310-243-6564(LA・オレンジカウンティ)/ 858-353-4376(サンディエゴ) メール:info@bluecurrentco.net
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法律・税務上の助言ではありません。最新の要件は専門家または各自治体にご確認ください。
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